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第三者意見

本環境報告書は、神戸大学の教育研究活動全般に伴う環境負荷及び環境配慮等の取組状況など、環境に関する大学の社会的責任を明確にするものと言えます。神戸大学の環境憲章にあるように、率先垂範してそのような社会的責任を果たしているかが問われていることになります。

21年度から「環境学入門」講義が始まり、全学的な環境に関する教育活動として高く評価されています。その報告の中で、学生による環境報告書2009年の評価結果が紹介されており、それによれば環境に関する教育研究において神戸大学は高く評価できないという結果となっており、他大学との比較においても省エネルギーやリサイクルへの取り組みに関して遅れを取っているとの回答が多いとのことであります。文中では学生に対する環境報告書の広報が不十分であることが指摘されていますが、同様に教職員に対する広報、また、大学全体における取り組みの向上が望まれるところであります。

「環境に関する教育研究とトピックス」の中に、「持続可能な社会のための環境学生会議」と「神戸大学環境シンポジウム」があります。「環境学生会議」は第2回目の報告であり、兵庫の大学生の環境に関する取り組みを全国に発信することを目的として大学コンソーシアム兵庫が主催して開かれています。大学横断的な取り組みで運営は大変な面が多いと想像しますが、意義の大きな企画であると思います。参加は7大学で決して多いとは言えませんが、活発な口頭発表やポスター発表が行われた様子がうかがわれます。環境関連授業のコンテンツ共有、単位互換や e ラーニングの共同開設など、今後のますますの発展が望まれるところであります。

「神戸大学環境シンポジウム」は、規模の大きなものとしてははじめての試みであると思われ、学生から高い評価を受たことが報告されています。まとめとして述べられているように総合大学の特質を生かした分野間の融合による環境に関する教育研究が発展することを期待します。評価が高かっただけに、講演内容の紹介などがあるとよかったように思います。

「組織体制」について、昨年度の第三者意見の中で、「工学研究科省エネ WG の活動」について、「今後の各部局による取り組みの先進的事例になるかと思われ、その意味で高く評価できます」とありました。本年度の報告ではその点は触れられておらず、今後の展開が望まれるところであります。環境施設マネジメント委員会と環境管理センターとの連携による取り組みが重要であり、いずれの組織も形骸化させずに実効性のある取り組みを継続的に行ってゆくことが重要であると思います。

摂南大学理工学部住環境デザイン学科教授:森山正和信
氏名
森山正和( もりやままさかず )
現職
摂南大学理工学部住環境デザイン学科教授
プロフィール
1970年早稲田大学理工学部建築学科卒業、同大学院修士課程を経て、1972年大阪市立大学生活科学部助手、1980年神戸大学講師、助教授を経て1999年同大学教授、2010年4月より現職。

都市のヒートアイランド現象とその対策、クリマアトラス ( 都市環境気候図 ) の作成、建物の省エネルギーおよびエコロジー建築、などを研究テーマとしている。

著書 ( 共著 ) に、「新建築学体系8自然環境 第4章 生態論」 ( 彰国社、1984 ) 、「都市環境のクリマアトラス –気候情報を活かした都市づくり-」 ( ぎょうせい、2000 ) 、「ヒートアイランドの対策と技術」 ( 学芸出版社、2004 ) などがある。

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