国際協力研究科(GSICS)国際法プログラムでは、神戸大学多国間環境条約研究会(KURIM)という学術NGOを設立し、環境条約の締約国会議にオブザーバー参加するという独自の環境教育を実施してきました。中でも、生物多様性条約締約国会議には2008年より4回続けて参加しており、KURIMの名前は各国代表団、条約事務局にも一目おかれる専門集団として認知されています。
2014年度は韓国のピョンチャンという都市で開催された、生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)およびバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書第7回締約国会合(MOP7)に参加してきました。締約国会議では、多種多様な議題が話し合われるため、現地での議論を理解するためには、準備が不可欠です。そこで今回の会議においてどういった議題が主要な論点になるのかを把握するため、過去の会議資料や関連資料を参加者間で分担して調査し、論点の抽出を行いました。
現地では、会議の傍聴を通して、文言交渉から成果文書が生み出されていく過程をつぶさに観察していきました。並行して各国代表団や条約事務局員にインタビューを行い、各国の詳細な見解や会議の動向について、より最前線の情報収集に努めました。また会議後半には、本来非公開の予算事項に関する少人数会合を特別に傍聴する機会を得るなど、緊張感あふれる国際交渉の現場を肌で感じることができました。会議への参加を通して印象に残ったのは、各国代表の戦略や議論状況を見極めた的確な発言や行動でした。また各国代表団へのインタビューを通して、正確な情報を適切な時期に入手し、それを的確に分析する能力の重要性を認識しました。
会議の傍聴に加えて、今回は会議期間中のサイドイベントとして、名古屋?クアラルンプール補足議定書に関する国際ワークショップをKURIM主体で企画?開催しました。このワークショップでは、補足議定書の締約国による将来的な国内実施に関する情報および意見交換の場を提供することを目的として、当該分野の専門家や元交渉参加者をゲストスピーカーまたはパネリストとしてお招きしました。当日は、補足議定書に関する意見交換や国内実施の手段?方策に関する議論が活発になされ、会場が満員になる80名以上の参加を得て大成功をおさめました。
このように国際法プログラムは、環境条約の締約国会議の参加を通じて、条約の実施、発展の過程を体感する実践的な環境教育を行っています。この取り組みは、環境条約についての最新情報を入手し、世界の条約関係者とのネットワークを形成することにも寄与しています。
詳細についてご関心のある方は、下記国際法プログラムのウェブサイトの「海外実習」の項目も是非ご覧ください。
- 国際協力研究科国際法プログラム:http://www.edu.kobe-u.ac.jp/ilaw/gsics-icl/index.html
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会議場での傍聴
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条約事務局員へのインタビュー
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ワークショップの様子