環境に関する教育研究とトピックス環境に関する教育

GSICS 国際法プログラムによる環境条約の教育方法:
生物多様性条約締約国会議COP11 への参加

神戸大学多国間環境条約研究会(KURIM)
国際協力研究科 教授 柴田 明穂
国際協力研究科 博士後期課程2年 稲垣 治
国際協力研究科 博士前期課程2年 田中 靖子
国際協力研究科 博士前期課程2年 頼信 幸枝

COPという言葉を、ニュース等で耳にしたことはありませんか? COPとは、 Conference ofthe parties の略で、多数国間条約の締約国が定期的に集まって条約の実施について話し合う締約国会議のことを指します。国際協力研究科(GSICS)国際法プログラムでは、神戸大学多国間環境条約研究会(KURIM)という学術NGOを設立し、それを通じて、環境条約の締約国会議にオブザーバー参加するという独自の環境教育を実施してきました。これまでに、バイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書や有害廃棄物の越境移動に関するバーゼル条約の締約国会議に参加してきた実績があります。

2012年度は、インドのハイデラバードという都市で開催された、生物多様性条約の第11回締約国会議(COP11)に参加してきました。締約国会議では、多種多様な議題が話し合われます。そのため、現地での議論を理解するためには、準備が不可欠です。そこで、事前に外務省や環境省の担当の方にお話を伺うなどして、どのような議題が焦点となるのか、情報収集を行いました。その結果、COP11では、条約の実施のために先進国が途上国に対して行う資金援助の問題がネックとなることが分かりました。また、その他にも海洋の生物多様性保全の問題など国際法の観点からも興味深い議題があることも分かりました。

現地では、会議の傍聴を通して、成果文書が生み出されていく過程をつぶさに観察していきました。並行して、各国の代表団の方にインタビューを行い、会議での発言の真意や各国のより詳細な見解についての情報も収集しました。そして会議の最終日、日付が替わって午前3時前、最後の成果文書が無事採択されたことを見届け、会場を後にしました。会議への参加を通して印象に残ったのは、外国語を用いてタイミングを逸することなく的確に発言をしなければならない国際交渉の難しさでした。環境条約が、そのような困難な仕事への多くの関係者の尽力によって、成り立っているということを実感しました。

このように国際法プログラムは、環境条約の締約国会議の参加を通じて、環境条約の実施、発展の過程を体感する実践的な環境教育を行っています。この取組みは、同時に、環境条約についての最新の情報を入手し、世界の条約関係者とのネットワークを形成することにも寄与しています。詳細についてご関心のある方は、下記国際法プログラムのウェブサイトの「海外実習」の項目も是非ご覧ください。

国際協力研究科国際法プログラム:http://www.edu.kobe-u.ac.jp/ilaw/gsics-icl/index.html

  • 会議の傍聴
    会議の傍聴
  • 代表団へのインタビュー
    代表団へのインタビュー
  • 最終日会議の再開を待つ
    最終日会議の再開を待つ
ページトップへ

本文はここまでです