神戸大学の環境パフォーマンス 有害物質の管理および対応
実験排水?土壌検査について
神戸大学が環境に与える負荷の一つに実験室から排出される実験廃液があります。公共下水道に流すことのできる水質の基準は「排除基準」と呼ばれ、下水道法および神戸市下水道条例により定められています。
本学では、定められた排除基準を遵守するため、排水経路中にpH計を設置し、揮発性有害物質を取り除く除外施設(中和?曝気(バッキ)槽)のpH計を含め、学内LANで結び、常時監視できるpHモニタリングシステムを導入しています。pHが規定値を超えた場合は、該当部局の排水管理関係者に自動的にメールが配送されるようなシステムになっています。このようにpHモニタリングされた排水を公共の下水道に排出しています。また、排水経路中に自動採水器を設置して採水し、重金属などの除害施設では除去できない有害物質が下水道に排出されていないかどうかを毎月検査しています。
土壌汚染対策として学内の土壌中に含まれる有害物質の検査もガスクロマト質量分析装置、蛍光X線装置、原子吸光光度計、紫外可視分光光度計などにより、自主的に実施可能な体制を敷いています。
表7 排水の水質監視のための施設及び有害物質分析装置
pH計 34カ所 (平成27年度末現在)
採水箇所 24カ所 (うち自動採水器より採水16カ所)
中和?曝気槽 8カ所
自動採水器
中和?曝気槽
pHモニタリングシステム
ガスクロマト質量分析装置
PRTRへの対応
PRTRとはPollutant Release and Transfer Register(化学物質排出移動量届出制度)の略で、有害性のある多種多様な化学物質が、どのような発生源から、どれくらい環境に排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかというデータを把握?集計し、公表するために制度化されました。PRTRでは報告対象となる化学物質の年間使用量が1tを超えると行政機関への報告が義務となります。
神戸大学では、平成24年度までは1tを超える使用量の指定化学物質はありませんでしたが、ノルマルヘキサンの使用量が平成25年度に初めて1tを超え、神戸市への届出を行いました。平成26年度には、ノルマルヘキサン使用量が大幅に拡大し、2.284tとなりましたので、引き続き届出を行い、平成27年度には、ノルマルヘキサンに加え、ジクロロメタンが新たに届け出対象となりました(使用量1.034t)。
廃液回収と処理確認
環境保全推進センターでは全学の実験用薬品等の廃液を原点回収し、産業廃棄物として一括して処分を外部業者に委託しています。廃液回収は専用廃液タンクにて行い、1本ずつに番号を付け、廃液処理が確実にできる体制としています。またインターネットを通じて、専用電子ファイルにて廃液処理申し込みができ、申し込み手続きが簡素化されています。廃液排出時のマニフェストの発行および管理も電子化されて、事務的な手続きも簡素化するとともに処理過程の確認が容易になっています。
総廃液処理量は平成20年度に3万ℓを超え、漸増し続け、特に平成24年度以降、大型研究プロジェクトの拡大が進み、平成26年度には4.1万?に達しましたが、平成27年度は4.0万ℓに微減しました。
教育?研究活動のより一層の振興は大学にとって不可欠ですが、その一方で実験廃液を含む産業廃棄物は関係法令により削減努力も求められています。今後は、これまでどおりスムーズかつ確実に廃液回収と処理確認ができるよう継続して努力するとともに、適正規模の実験を呼び掛けていきます。。
図11 平成23~27年度の廃液回収実績
神戸大学専用廃液タンク
廃液回収風景