まず、このような充実した環境報告書をとりまとめられた神戸大学関係者のご努力に敬意を表します。
報告書を拝見して、農学研究科と附属小学校のコラボレーションなど、神戸大学の特色を生かしながら、教職学それぞれの立場による、教育?研究をはじめとするすべての業務にわたる大学の環境への取り組みを示した報告書になっていることがよくわかりました。特に、これは過去の第三者意見でも述べられていたことですが、とりまとめた環境報告書を、「環境報告書を読む会」や、講義の材料として用いられ、学内関係者にフィードバックしている取り組みについては特に感銘を受けました。是非本学でも同様な取り組みを行いたいと考えています。
私自身、所属する大学で環境?エネルギー管理を担当する部署を数年間担当しており、その経験から以下に意見を述べたいと思います。
一つは周辺自治体?大学との連携です。神戸大学は神戸市内で最大の大学であり、また有数の大規模事業所です。従って、その取り組みを参考にできる事業所?大学は多いものと考えます。私の大学がある大阪府吹田市では、同市の温室効果ガス大量排出事業者に本学をはじめとする大学が多いことから、定期的に「大学と研究機関による省エネルギーワーキンググループ」を開催し、省エネルギー事業に関する経験の共有をおこなっています。是非神戸大学にも、神戸市?兵庫県における環境対策活動のリーダーとしての役割を期待したいと思います。
もう一つは温室効果ガス排出抑制の取り組みです。我が国ではパリ協定に基づく地球温暖化対策計画において、2030年までに2013年比26%のCO2削減を達成することを目標としています。その内訳を見ると、大学の属する民生業務部門では、およそ4割という大きな削減目標が割り振られており、大学もおよそこの数値を目安として今後の温室効果ガス排出削減対策を実施していく必要がありますが、残念ながら現在の国立大学をとりまく財政状況は、この報告書でも述べられているように省エネルギー対策への十分な予算配分ができない状況にあります。これを打破する画期的な知恵を、共に探していくことができればと思いました。