敢えて二兔を追う
環境保全推進センター センター長 森 敦紀
神戸大学環境保全推進センターは、昭和51年に全学共同施設である「神戸大学水質管理センター」として発足以来、平成6年からは「環境管理センター」、さらに平成16年には現在の組織に改組し、神戸大学の薬品類の廃棄や廃液の回収?処理業務、排水管理等の学内研究基盤のサポートに携わるとともに、学内での環境に関連した教育による環境意識向上にむけた普及活動、大学における省エネルギー推進にも取り組むなど、多方面にわたる環境保全に関連する事業を推進してきました。また近年では、2022年に設置された神戸大学カーボンニュートラル推進本部の活動にも積極的に関与し、政府が表明する2030年度の温室効果ガス排出46%削減、2050年のカーボンニュートラル実現を神戸大学が達成すべく、努力を続けています。
省エネ達成と積極的な研究活動の推進は一見、相反する両極の事がらであるように見えます。省エネとは、なるべく少ないエネルギー排出でつつましい生活を送ることでありますが、一方で研究が最先端を極めるほど開発には大きなエネルギーを要するでしょう。もちろん、エネルギー消費の削減の結果として研究活動が縮小することは大学の衰退に直結する深刻な問題で、取ってはならない選択肢です。この両立を、互いがある程度妥協をしながら折り合いをつけて小さな成功に導くのでなく、斬新な方法によりどちらともに大きな成果が挙がるような大成功をぜひとも成し遂げてみたいものです。
大学人には欲張り者が多いと思います。「二兎を追う者は一兎も得ず」とことわざでは言われますが、ここはひとつ大学の叡智、創意工夫を結集することで、二兔を得てやりましょう。