環境保全推進センターの活動

環境に関する講義、大学等環境安全協議会のプロジェクト研究

環境に関する講義

実験廃液処理に関する講義

環境保全推進センターでは、実験廃液処理に関する講義を例年開講しています。各部局からの依頼に応じて、教職員や学生を対象に、環境に配慮した実験および学内?学内周辺の環境保全への理解とそれらの実現を目的にしています。

また、環境保全推進センターの講師が他部局へ訪問することで、教育効果を高めています。2020年度は必威体育による学生実験中止などの影響により、一時的に減少したものの、合計11回、総数約480名の学生及び新人教職員に対して、講義を行いました。講義内容は概ね以下の通りです。

  • 神戸大学における実験排水管理(排水系統や排水に関する法令とその遵守)
  • pHモニタリングシステムや中和曝気槽の仕組みとその設置経緯など
  • 神戸市における下水道への化学物質の排除基準
  • 神戸大学における実験廃液の処理方法
  • 神戸大学の実験廃液の回収分類
  • 環境管理ガイドブックに基づく環境保全の意義
  • 特定施設(実験系流し台、ドラフトチャンバー内の排水口)の届出について

「環境化学」の講義

「環境化学」は工学部からの依頼により、工学部応用化学専攻の選択必修科目として例年開講しています。3年生が対象で4Qの開講であるため、受講者は限定されるものの、環境化学に関する知識の習得に熱意のある学生が受講することもあり、出席率は高くなっています。

本講義は環境問題の歴史と現状、そしてそれらの原因について学び、その解決のために必要な法令および環境関連の大気、水質、土壌?地下水、廃棄物などの環境中の試料を分析するための要素技術などについての理解を深めることを目的としています。

環境問題の原点の一つである水俣病をはじめとする幾多の公害病から、近年のグローバル型環境問題に至るまで、化学という学問領域から環境問題を理解する講義を行っています。

大学等環境安全協議会のプロジェクト研究

大学等でのエネルギー消費における気象の影響の定量的評価

現在、環境保全推進センターでは学等環境安全協議会のプロジェクト研究を実施しています。エネルギー消費に占めるエアコン利用の割合は高く、気温などの日々の気象にエネルギー消費量が多大な影響を受けることは明白です。その一方で、大学等におけるエネルギー消費における気象の影響を定量的に明らかにした研究例は非常に少なく、その評価が求められています。

この研究プロジェクトの目標は、エネルギー消費における気象の影響を定量的に明らかにすることによって、設備投資(省エネルギー設備の導入など)やヒューマンエフォート(エアコン消費の削減など)による真の省エネルギー効果の評価方法を構築しようとするものです。研究の結果、エネルギー消費に対する気象の影響をより厳密に評価するための気象データは、土日を含みまた夜間を除外しない終日(24時間)の平均データが最適であるという結果が得られました。さらに月エネルギー使用量と気温との一次相関からのずれを気温非依存分として抽出することに成功し、例年同じ時期に周期的にエネルギー使用量が上振れと下振れを繰り返していることが定量的に示されました。猛暑期?厳寒期と新学期開始時にエネルギー使用量が増大しており、上振れの時期のタイミングで効果的な省エネ啓蒙を行うことで、最大5%程度のエネルギー使用量の削減が見込まれることが明らかとなりました(下図)。

図 年間におけるエネルギー使用量の周期性