ESD サブコースの取り組み
経済学研究科非常勤講師 小島 理沙
人間発達環境学研究科ESDコーディネーター 高尾 千秋
2008年度より開講した ESD ( 持続可能な開発のための教育:Education for Sustainable Development ) サブコースは、2012年度、国際文化学部?工学部が新たに参加し、6学部による開講となった。
従来型の「環境教育」の拡張をめざし、ESDに求められる課題の多様性に対応した汎領域的な視点で各学部の特色を生かしたカリキュラムを企画している。学生は、学外の人々と連携しながら実践活動への参画(アクション?リサーチ)を通して、持続不可能な社会や仕組みの問題性あるいは解決の方向性を探究する参加?体験を重視している。
演習におけるアクション?リサーチの事例を以下に紹介する。
2012年度の経済学部の ESD 演習 Ⅰ ( 環境経済学 ) では、地方都市における持続可能な発展とは何かをテーマとし、兵庫県篠山市を舞台に調査?フィールド実習?アンケート?議論?報告という流れで授業を行った。篠山市を選んだ理由は、①本学農学部が実践農学演習等で縁のある地であり、②実際のフィールドを見に行くことが可能であること、③過疎化等一般的な想定されうる地方都市 ( 田園があり、住宅地、観光地もある ) という3点である。
履修学生に篠山を事例として、持続可能な地方都市を考えるというテーマを出し議論したところ、まずその土地の住民のニーズを把握する必要があり、アンケート調査を実施することになったが、現地に詳しい人に相談したところ、ナーバスな問題のためやめてほしいという要請があり、急遽予定を変更し、都会に住む人の地方都市に対するニーズを調査することになった。
篠山市街の様子
篠山市の田園風景
この授業の特徴は、履修学生と議論をしながら、実際に現地を見に行き、調査の方法や中身を検討するという学生主体で実施するという点にある。そのため、状況によっては上記のように予定通り授業が進まないことも当然出てくる。それこそがリアリティであり、重要なポイントである。つまり、現実社会の正解のない課題に対し、実際にアプローチし、解決策を模索していく過程で、その底流にある「持続可能性」についてを自ら考え、自分たちなりの答えを出すことがこの授業の狙いである。