環境に関する研究
科学技術振興調整費「バイオプロダクション次世代農工連携拠点」
の紹介
工学研究科応用化学専攻准教授荻野千秋
平成20年7月、平成20年度文部科学省委託事業である科学振興調整費「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」に課題名「バイオプロダクション次世代農工連携拠点」として採択されました。本事業は、「長期的な観点からイノベーションの創出のために特に重要と考えられる先端的な融合領域において、産学官の協働により、次世代を担う研究者?技術者の育成を図りつつ、将来的な実用化を見据えた基礎的段階からの研究開発を行う拠点を形成する」ことを目的としております。実施期間は原則10年間で、実施規模は平成20年度から3年間がステージゲート期間であり、中間審査を通過した課題名のみが残り7年間のプロジェクトに進むことが出来る、厳しいプロジェクトであります。
本拠点化構想では、脱石油化学社会の構築を図るため、「農学」と「工学」との境界領域の融合により、農学的な遺伝子資源やバイオマスに関する専門知識から、工学的な発酵工学?反応工学?分離工学にわたる専門領域を網羅し、バイオマスから多種多様な物質生産 ( バイオプロダクション ) を行う先端融合領域が拠点化の研究対象であります。工学研究者は農学研究者と融合を図ることで、バイオマスに関する農林関連の知識を深めることができ、農学研究者にとっては化学工学的な反応装置や分離特性及び物質収支に関する概念を共有できるメリットが大きい所が農工連携の醍醐味であると思います。また、企業研究者にとっては、大学の有するコア技術による新しい技術の展開が図れるメリットがあります。具体的には、メンバーの福田、近藤らによって開発され世界的に高い評価を受けている「菌体触媒」や「細胞表層」に関するコア技術を発展させ、「化成品原料?次世代燃料」、「バイオプラスチック?バイオ繊維」、「機能性食品」、及び「医薬品?農薬」分野での物質生産に関わる研究拠点化を目指し、バイオマスの有効利用に関する拠点を形成していくことであります ( 図1 ) 。本拠点では、生物資源の有用物質への変換に関する遺伝子資源や植物資源など上流 ( 原料 ) からプロセス構築に至る下流 ( 製品 ) までの一連の領域すべてを網羅する研究 ( バイオリファイナリー研究 ) を対象としており、このような研究拠点は国内では本拠点化構想が初めての試みであり ( 図2 ) 、欧米で推し進められているバイオリファイナリー構想やホワイトバイオテクノロジー構想と比較しても、十分に競争し、勝つことの出来る拠点化の内容であると考えます。詳しい内容はホームページに順次掲載しております。下記アドレスを御参照ください。
バイオプロダクション次世代農工連携拠点 ホームページ
http://www.org.kobe-u.ac.jp/bioproduction/index.html