実験排水?土壌検査について
神戸大学が環境に与える負荷の一つに実験室から排出される実験廃液があります。公共下水道に流すことのできる水質の基準は「排除基準」と呼ばれ、下水道法および神戸市下水道条例により定められています。
本学では、定められた排除基準を遵守するため、排水経路中にpH計を設置し、揮発性有害物質を取り除く除害施設(中和?曝気槽)のpH計を含めて学内LANで結び、常時監視できるpHモニタリングシステムを導入しています。pHが運用管理値を外れた場合は、該当部局の排水管理関係者に自動的にメールが配信されるシステムになっています。このようにpH監視された排水を公共の下水道に排出しています。また、排水経路中に自動採水器を設置し、除害施設では除去できない有害物質の下水道への排出状況も毎月監視しています。
また、土壌汚染対策として学内の土壌中に含まれる有害物質の検査もガスクロマト質量分析装置、蛍光X線装置、原子吸光光度計、紫外可視分光光度計などにより、自主的に実施可能な体制を敷いています。
pH計 | 35カ所(2019年度末現在) |
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採水箇所 | 23カ所(うち自動採水器より採水16カ所) |
中和?曝気槽 | 8カ所 |
PRTRへの対応
PRTRとはPollutant Release and Transfer Register(化学物質排出移動量届出制度)の略で、有害性のある多種多様な化学物質が、どのような発生源から、どれくらい環境に排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかというデータを把握?集計し、公表するために制度化されました。PRTRでは報告対象となる化学物質の年間使用量が1tを超えると行政機関への報告が義務となります。
神戸大学の2019年度の実績では、六甲台地区で塩化メチレン1.2tとノルマルヘキサン2.1t、楠地区でキシレン1.2tを使用したことから、神戸市への届出を行いました。
廃液回収と処理確認
環境保全推進センターでは全学の実験用薬品等の廃液を原点回収し、産業廃棄物として一括して処分を外部業者に委託しています。廃液回収は専用廃液タンクにて行い、1本ずつに番号を付け、廃液処理が確実にできる体制としています。
またネットを通じて、専用電子ファイルにて廃液処理申し込みができるため、申し込み手続きが簡素化され、廃液排出時のマニフェストの発行および管理も電子化されて、事務的な手続きも簡素化するとともに、処理過程の確認が容易になっています。
2019年度の実験系廃棄物の排出量は約6万Lとなりました。過去5年間の排出量の推移を見てみますと、増加傾向にあったものが横ばいになっています。
教育?研究活動のより一層の振興は大学にとって不可欠ですが、その一方で実験廃液を含む産業廃棄物は関係法令により削減努力も求められています。
今後は、これまでどおりスムーズかつ確実に、廃液回収と処理確認ができるよう継続して努力するとともに、適正規模の実験を呼び掛けていきます。
医療廃棄物
楠地区の医学部と附属病院及びポートアイランド地区の医学部附属病院国際がん医療?研究センターでは、使用済みの注射針、血液や体液の付着したガーゼ等感染症を発生させる恐れのある特殊なゴミが発生します。
これらのゴミは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により特別管理産業廃棄物の感染性産業廃棄物という項目に分類され、その管理及び処理方法については厳重に行うことが規定されています。
2019年度に附属病院等で発生した医療廃棄物は、次のとおり処理しました。
表11 2019年度廃棄量
容器種別 | 個数 | 容量(ℓ) | 重量(kg) |
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ペールボックス(20ℓ) | 26,100 | 522,000 | 83,295 |
段ボール(45ℓ) | 106,800 | 4,806,000 | 365,900 |
段ボール(130ℓ) | 300 | 39,000 | |
計 | 133,200 | 5,367,000 | 449,195 |
容器種別 | 個数 | 容量(ℓ) | 重量(kg) |
---|---|---|---|
ペールボックス(20ℓ) | 400 | 8,000 | 1,787 |
段ボール(45ℓ) | 5,400 | 243,000 | 22,490 |
計 | 5,800 | 251,000 | 24,277 |
PCB廃棄物への対応
神戸大学では、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」に基づき、PCB廃棄物を適正に保管、点検し?届出書を神戸市に毎年提出しています。
各部局の電気室等に保管していた高濃度及び低濃度PCB廃棄物については、2019年度に全て処分しました。
2020年3月末時点では、一部の部局で実験機器等に低濃度PCB使用製品(可能性のあるものを含む)がありますが、適正に管理しています。
アスベストへの対応
本学における建築物の吹き付けアスベスト等(アモサイト等6種)の使用箇所については、2006年度中に除去、一部囲い込み(職員宿舎)を行い、全て対策を終えました。除去した箇所については、飛散の恐れの有る部屋はありません。
なお、囲い込みを行った箇所については年1回、濃度測定を実施し、2019年度の測定では基準値以下でした。
また2014年6月の「石綿障害予防規則の一部を改正する省令」への対応については2014年から調査を実施し、対応の求められている施設については必要な措置を講じています。