環境に関する教育研究とトピックス

環境に関する研究

神戸市の異常高温対策に関する調査研究

工学研究科 准教授 竹林 英樹

神戸市からの業務委託を受けて、異常高温対策に関する検討を行いました。快適な都市環境の保持を目指し、今後、神戸市が異常高温対策に取り組んでいくための基本計画策定に必要な知見を得るために、神戸市都心部での夏季暑熱環境調査の結果を分析し、熱環境シミュレーションにより異常高温対策基本計画に対する提言をまとめました。

2019年7~9月に三宮と元町に暑さ対策技術(クールスポット)を試験導入し、その効果検証を実施しました。2019年12月には技術分野の職員向けの異常高温対策ワークショップを開催し、市長も出席して今後の異常高温対策に向けた取り組みの方向性を議論しました。(参考、神戸新聞のクールスポット紹介記事:https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201907/0012478089.shtml、久元市長のワークショップ紹介ブログ:http://hisamoto-kizo.com/blog/の2019年12月21日異常高温対策ワークショップ)。

具体的な検討としては、放射環境と風環境を統合した温熱環境指標であるSET*を用いて、現状の市役所周辺市街地の温熱環境分布の実態を分析するとともに、元町と三宮に導入されたフラクタル日除けとミストにより構成される暑さ対策技術の導入効果を評価し、今後の暑さ対策技術の具体的な導入に向けて、優先的導入箇所の検討、適材適所の導入戦略の検討を行いました。前年度に提示した提言に以下の2項目を追加してまとめとしました。

?関連分野の市職員は、本報告で整備したGIS上の時刻別温熱環境分布図を参照して戦略的な暑さ対策を検討、実践する。

?午前は南北道路東側、午後は南北道路西側、日中を通して東西道路南側に歩行者を誘導することが有効であるが、正午前後に南北方向の移動に適した経路の選定は困難となる。本報告で検討した暑さ対策技術や街路樹の適切な配置を検討することで、まち全体をカバーする戦略的な暑さ対策を実践する。

三宮に導入されたクールスポットと測定の様子
フラクタル日除け(上部)とミスト(4支柱)
 夏期晴天日13:00の温熱環境指標SET*分布図
 (2019年8月5日)