「食」に関する情報や報道は依然多く、幼少期からその関心を高めて健全な育成を目指す、いわゆる「食育」に関わりたいと考えていました。日本の主食である米の研究を私は専門としています。子どもたち自身が日頃食べている米を課題とし、その様子をいつも観察しながら育てて収穫し、実際に食べてみるまでの理想的な一環を実現することは結構大変で、学校関係者や地域の理解が必要不可欠になります。
そう考えているときに、2012年に附属小学校(明石市)から、2年生の児童を対象とした「お米をそだててあじわおう!」という授業の支援が依頼されました。私が指導している学生やお米を育てている技術職員にも助けていただき、附属小学校で主に田植え、収穫、脱穀や調製を指導しました。毎年先生が異なりますが、できるだけ先生の意向に添った指導に努め、今期で6年目になります。
附属小学校の先生の努力のおかげで、児童の教室からすぐに見える花壇を改装し、田んぼを作ってもらいました。毎年のことですが、田植えはいつも大変で、ほとんどの児童は初めての体験です。70人くらいの児童に苗の持ち方や植え付け方を指導し、児童は田んぼの泥と戦いながら、3?4株ずつ植えていきました。児童から見るとすぐ側にお米があるため、みんなでよく観察し、変わった様子があればすぐに先生に知らせて、また田んぼにいる虫のことを懸命に調べる児童もいました。穂ができたあとにはスズメなどが食べに来ることをあらかじめ知らせ、児童みんなが多くのかかしを作り、お米を守るようにしていました。昔ながらの方法で児童は鎌を使って収穫した後1週間から10日間程天日で干し、手作業と機械を使って脱穀と調製をしていき、みんなで玄米に仕上げていきました。使っている米品種は「はいごころ」といい、GABA(ガンマ-アミノ酪酸)が多いなどの高い機能性を持っています。収穫量は毎年異なりますが、児童らが育てた「はいごころ」の発芽玄米を通常のお米に混ぜてみんなで食べています。その試食会やお米の授業の発表会に招待されたこともありました。児童からの質問はいつも積極的で鋭い質問もありました。
この支援を通して、児童自身が普段食べているものがどのようにしてできているのかを実際に体験することができ、その体験を通して考えることで食べ物の大切さをより深く理解するきっかけになることを切に願っており、継続していきたいと考えています。
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