環境に関する教育研究とトピックス [環境保全活動]

都賀川の糞便性大腸菌汚染問題を解決するための協力活動

神戸大学六甲台キャンパスの近くを流れ、上流から取水してキャンパス内に中水として配水する配管も存在する都賀川は、広く神戸市民に親しまれている都市河川であり、毎年夏の川開き後は河川公園を中心として水遊びや散歩の場として市民に活用されてきた。その環境の維持のため、地域活動団体「都賀川を守ろう会」が40年にわたり、灘区役所とともに河川公園の美化や水質の改善活動を行ってきた。

ところが近年、夏になると糞便性大腸菌が増え、水浴可の基準値(1000個/100m?)を超えるようになり、川開きに支障を来すという問題が起こった。そこで、糞便性大腸菌の混入源を突き止め、混入を防止するためにはどうしたら良いのか、ということで「都賀川を守ろう会」および灘区役所まちづくり課から相談を受けた。

2016年8月18日に第1回会合を行い、いくつかの支流を含む都賀川の複数地点で採水を行い、得られた水サンプルの一般細菌を大腸菌の混入源の代替指標とみなして理学研究科洲崎研究室で培養することが決まった。悪天候のため3度延期され、9月半ばに「都賀川を守ろう会」会員が採水したサンプルを分析した結果、汚染源を明確に特定することができなかったが、何カ所か汚染度が高い可能性がある川が示唆されたので、そこを中心に再調査することとなった。併せて、糞便性大腸菌が存在すれば屎尿も混入しているはずなので、パックテストで簡単に測れる塩化物イオン濃度を屎尿混入の指標として、CODを有機物混入の指標として測定するという方針を立てた。

その後何回かの会議を経て、11月に入ってから環境局が行った電気伝導度を含む大規模調査の結果と合わせ、杣谷川の2地点で下水の混入が疑われることが判明し、神戸市において対策を実施した。

12月に灘区役所で行った会議で以上の対処状況について総括し、2017年度夏に状況が改善するかどうか継続的に見ていくこととなった。

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